猫の不思議な行動には理由がある!習性と愛情表現を理解しよう
由気ままに見える猫たちですが、その行動一つひとつにはしっかりとした意味が隠されています。たとえば、高いところによじ登ったり、家具に爪を立てたりと、人間から見れば「どうしてそんなことをするの?」と不思議に思うような行動にも、猫本来の習性や本能が関係しているのです。

本記事では、猫がもともと持っている行動の特徴や、そこから読み取れる愛情表現について詳しく解説していきます。猫との暮らしをより豊かにするヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。


猫の本能的な習性とは?

まずは、猫が生まれながらにして持っている基本的な行動パターンについて見ていきましょう。普段の生活の中でよく見られる仕草や行動にも、実は猫ならではの理由があるのです。

1. 排泄物を隠す行動

猫が排泄の後に砂をかけるのは、自然界で身を守るための行動の一つです。野生の猫にとって、自分の存在を敵に知られることは命取りになる可能性があります。そこで、排泄物のにおいを消し、居場所を特定されないよう砂をかける習性が身についているのです。

この習性は家庭内でも変わらず見られ、トイレの設置場所や猫砂の種類によって、猫が安心して排泄できるかどうかが決まります。もし猫がトイレを使わなくなった場合は、環境に不満がある可能性のほか、体調不良やストレスなども原因として考えられるため、早めの対処が必要です。

2. 高い場所への執着

猫が棚の上や冷蔵庫の上など、高いところを好むのは、視野が広がって周囲の状況を把握しやすくなるからです。また、上にいることで自分が有利な位置を占めていると感じ、安心感を得るとも言われています。

猫のための空間を工夫することで、家の中でもこの習性を活かすことができます。キャットタワーやウォールシェルフを設置すれば、猫のストレス軽減にもつながります。ただし、子猫や高齢猫の場合は落下のリスクがあるため、安全性には十分配慮しましょう。

3. 縄張り意識が強い

猫は単独で狩りをしてきた動物であるため、自分のテリトリーに対して非常に強いこだわりを持っています。野生では食べ物を確保するために縄張りを守る必要があり、その習性は家猫になった今でもしっかりと残っています。

家の中でも、自分のお気に入りの場所を寝床にしたり、特定の場所でしか遊ばなかったりするのは、その空間を自分の縄張りとして認識しているからです。また、オス猫は繁殖本能から、メス猫よりも広い縄張りを持とうとする傾向があります。

4. 爪とぎの理由

猫が爪を研ぐのは、単なる遊びではなく、生きるための本能的な行動です。木の幹や固い素材に爪を立てることで、古い爪の外皮を取り除き、常に鋭くて強い爪を維持しようとしています。

さらに、爪を研ぐ行為には、臭腺から分泌されるにおいを残して縄張りを示す意味も含まれています。家具を傷つけないようにするためにも、専用の爪とぎグッズを設置してあげるとよいでしょう。もし猫が爪とぎをあまりしなくなった場合は、巻き爪などのトラブルを避けるために、定期的な爪切りを心がけてください。

習性から読み取る、猫の愛情表現

猫は犬のように感情をストレートに表現することは少ないですが、信頼している相手には独自の方法で愛情を示してくれます。ここからは、猫が見せる行動の中でも、飼い主に対しての好意や信頼の表れと考えられるものを紹介します。

1. 身体をこすりつけてくる

猫が足元や体に体をスリスリと擦り付けてくるのは、「ここは自分の縄張りだよ」「あなたは私の大切な存在だよ」という意味があります。猫の体にはにおいを分泌する腺があり、それをこすりつけることで自分のにおいをつけて安心感を得ているのです。

また、甘えたいときや要求があるとき(ごはん、遊び、トイレ掃除など)にこの行動が見られることもあります。猫なりの「かまって」のサインですので、なるべく応えてあげると良好な関係が築けます。

2. ふみふみ行動をする

猫が前足を交互に動かして「ふみふみ」する様子は、見ていてとても可愛らしい行動です。このしぐさは、母猫の乳をもらうときのなごりとされており、安心感を感じているときに無意識に出ることが多いです。

柔らかいブランケットや飼い主の膝の上でふみふみするのは、甘えたい気持ちやリラックスしている証拠。猫にとって、飼い主を母親のように信頼しているといえるでしょう。

3. しっぽをピンと立てる

猫のしっぽの動きは、感情を知る上でとても重要なサインです。しっぽがまっすぐに立っているときは、機嫌が良く、相手に対して好意を持っている証拠です。特に、飼い主のもとに小走りで寄ってきてしっぽをピンと立てているときは、「嬉しい」「会えてうれしい」という気持ちが込められています。

子猫が母猫に近づくときによく見られる行動で、成猫になっても信頼する相手に同じような反応を示します。

4. 獲物を“贈り物”として持ってくる

ときには、猫が小さな虫やおもちゃなどを飼い主の前にポンと置いてくることがあります。これは、猫なりのプレゼントのつもりで、「これ、あなたのために捕まえたよ!」という愛情表現の一つです。

狩猟本能が根底にありますが、この行動は飼い主を仲間、あるいは家族の一員として認めているからこそ見せるものです。驚いたり困ったりしてしまうかもしれませんが、猫の気持ちを理解して受け止めてあげましょう。

猫の習性を知れば、もっと仲良くなれる

猫の行動には、すべて意味があります。その多くが、野生の本能や社会性、そして安心感や信頼から生まれるものです。猫と良好な関係を築くためには、まず彼らの習性を理解し、それを尊重することがとても大切です。

そして、猫からのささやかな愛情表現を見逃さずに受け止めてあげることで、猫との絆はより一層深まります。

これから猫を迎える方も、すでに一緒に暮らしている方も、猫の「なぜ?」を知ることで、日々の暮らしがもっと楽しく、温かなものになることでしょう。