ふわふわとした猫の毛並みは、見ているだけでも癒される魅力のひとつですよね。
しかし、そんな猫の美しい被毛も、季節の変わり目になると「抜け毛が増えて掃除が大変!」と感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。特に換毛期は、家中に毛が舞ったり、猫自身の体調にも影響が出ることがあるため注意が必要です。
この記事では、猫の換毛期の仕組みや注意点、そして日常的にできる抜け毛対策を詳しくご紹介します。
猫の換毛期はいつ?年に2回訪れる毛の生え変わり
まずは、猫の換毛期の時期や特徴を知っておきましょう。
猫の毛は常に少しずつ生え変わっていますが、特に春と秋の年2回は大きな換毛期が訪れます。
春の換毛期には、冬のあたたかい毛から夏用の軽くて通気性の良い毛へと変化します。逆に秋の換毛期では、寒い季節に備えて密度の高い毛に生え変わります。
この時期は、ブラッシングしてもしても毛が抜け続けるほど、抜け毛が増えるのが特徴です。
ただし、完全に室内で暮らしている猫は、気温や日照時間の変化を感じにくいため、はっきりとした換毛期がない場合もあります。
一年中ゆるやかに毛が抜け続けることもありますが、それは異常ではありません。季節の影響が少ないだけなので、健康面で過度に心配する必要はないでしょう。
換毛期に気をつけたい2つのポイント
換毛期は猫にとって自然な体のサイクルですが、いくつか注意すべき点もあります。特に以下の2つには気を配っておきましょう。
1 毛球症(もうきゅうしょう)
猫は本能的にグルーミング(毛づくろい)を行い、自分の体を清潔に保ちます。その際、抜けた毛を舐め取って飲み込んでしまいます。
通常は飲み込んだ毛を便と一緒に排出したり、吐き出したりすることで体外に出しますが、換毛期には抜け毛の量が増えるため、胃や腸に毛がたまりやすくなります。
この毛のかたまりが消化器官を塞いでしまう状態を「毛球症」と呼びます。初期症状としては、食欲が落ちたり、便秘や下痢が続いたりすることがあります。重症化すると腸閉塞を起こし、外科手術が必要になるケースもあるため注意が必要です。
毛球症を防ぐためには、こまめなブラッシングが効果的です。また、毛玉を排出しやすくするフードやサプリメントを活用するのも一つの方法です。
2 飼い主さんのアレルギー
もう一つ見落としがちなのが、飼い主さん側のアレルギーリスクです。
換毛期は抜け毛が増えるだけでなく、空気中に細かい毛やフケ、ホコリが舞いやすくなり、室内のハウスダスト量が急増します。
さらに、猫の唾液や皮脂に含まれるアレルゲン物質が毛につき、それが空気中に飛散することで、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすことがあります。
普段は平気でも、季節の変わり目に症状が出る人も少なくありません。
こまめな掃除や空気清浄機の使用、寝具やカーテンの洗濯などでアレルゲンを減らすことが大切です。
猫の抜け毛対策3選
それでは、実際にどのような対策を取ればよいのでしょうか。
ここでは、猫にも飼い主にも優しい3つの抜け毛対策をご紹介します。
1 定期的なブラッシング
抜け毛対策の基本は、やはりブラッシングです。
こまめにブラッシングすることで、床や家具に落ちる毛を減らすだけでなく、猫が飲み込む毛の量も減らせます。
ブラシを使うときは、毛の流れに沿って優しく撫でるように行うのがポイントです。強く引っ張ると皮膚を傷つけたり、痛みでブラッシングを嫌がる原因になります。
毛が絡まっている部分は無理に引っ張らず、スリッカーブラシなどで少しずつほぐしてあげましょう。
長毛種の猫は毎日のブラッシングが理想的ですが、短毛種でも週に2〜3回は行いたいところです。ブラッシングは、猫とのスキンシップにもなります。
2 シャンプーやドライシャンプーの活用
猫はもともと清潔好きな動物で、自分で体をなめて汚れを取るため、頻繁にシャンプーする必要はありません。
しかし、抜け毛が気になる時期にはシャンプーで古い毛を洗い流すことで、抜け毛を減らす効果が期待できます。
水が苦手な猫の場合は、無理せずドライシャンプーを使うのがおすすめです。スプレーや泡を被毛になじませてタオルで拭き取るだけで、毛のベタつきやにおいを抑えられます。
シャンプーの前には必ずブラッシングを行い、毛玉やもつれをほどいておくと仕上がりがきれいになります。
頻度の目安は、長毛種なら月1回、短毛種なら年に1〜2回程度で十分です。
3 サマーカットで清潔&快適に
特に長毛種の猫は、夏場の暑さや抜け毛対策としてサマーカットを検討するのも良い方法です。
毛を短くカットすることで、通気性が良くなり、毛玉もできにくくなります。皮膚の状態も確認しやすくなるため、早期に肌トラブルを見つけられるメリットもあります。
ただし、サマーカットには注意点もあります。
短くしすぎると、紫外線による日光性皮膚炎を起こしたり、刈り取り時のバリカンの音や振動で猫がストレスを感じたりすることがあります。
実施する際は、必ず獣医師やトリマーなど専門家に相談し、猫の性格や毛質に合った方法を選びましょう。
抜け毛を減らすためにできる暮らしの工夫
抜け毛を減らすには、ブラッシングやシャンプー以外にも、日常生活の工夫が役立ちます。
●掃除機やコロコロをこまめに使う
猫のいる部屋は毎日軽く掃除するだけでも、空気中の毛の舞い上がりを防げます。
●空気清浄機を設置する
ハウスダストやアレルゲン物質を減らす効果があります。
●栄養バランスの良い食事を心がける
良質なタンパク質とオメガ3脂肪酸を含むフードは、毛艶を整え、健康な皮膚を保つのに役立ちます。
まとめ
猫の換毛期は、自然な体のサイクルとはいえ、抜け毛の増加や体調変化、飼い主さんのアレルギーなど、気をつけたいことがたくさんあります。
しかし、日常的なケアと清潔な環境づくりを心がければ、多くのトラブルは防ぐことができます。
ブラッシングやシャンプーで被毛を整え、快適な空間を保つことで、猫も飼い主さんも心地よく過ごせるはずです。
猫との暮らしをより快適にするために、今日から少しずつ抜け毛対策を実践してみてくださいね。