猫はお魚が好きなイメージがありますが、魚だけを食べて生きていける動物ではありません。またキャットフードのように、栄養バランスを調整した食事なら問題ありませんが、魚そのものを毎日与えると栄養が偏ってしまうことも。
そこで今回は愛猫に魚を与える際の注意点や、ほかの肉を与えることのメリットなど、猫の健康維持におすすめのお肉を紹介していきます。
魚だけを与える問題点とは?
猫に魚を与えることは問題ではありませんが、毎日与え続けることはよくありません。魚には良質なタンパク質、脂質が豊富です。しかし、その豊富な栄養素にも注意が必要です。
ビタミンDの過剰摂取
ビタミンDは、魚の中でも鮭やタラにとても豊富に含まれています。ビタミンDは体内で脂溶性ビタミンに変化し体に蓄積されます。毎日与え続けることで過剰摂取してしまう可能性が心配です。
過剰摂取の場合、食欲不振や心臓・腎臓の不調、骨が弱くなるなどの影響が出ることがあるので注意しましょう。
ビタミンEの不足
青魚・赤魚とも呼ばれる(イワシ・サンマ・アジなど)には、不飽和脂肪酸が豊富です。適量は健康維持に大切ですが、酸化しやすいデメリットがあります。不飽和脂肪酸が多くなるとビタミンEが減ってしまうことが問題です。
ビタミンE不足によって生じる具体的な症状は、以下のとおりです。
・筋力低下
・生殖障害
・網膜変性
・脂肪組織の変色
・皮膚炎
・免疫系の異常
不飽和脂肪酸が豊富になることで、体に異常が出ることや最悪、皮膚炎から壊死してしまう可能性もあります。毎日魚を与えることは、必要なビタミンEの生成を阻害する可能性もあるので摂取には気を付けましょう。
愛猫に肉を与えるメリット
魚が好きと思われがちな猫ですが、肉を食べることで摂れる栄養などメリットも多いです。ここでは、愛猫に肉を与えるメリットを紹介しましょう。
たんぱく質の必要量が多い
肉食動物の猫は、人間に比べてたんぱく質の必要量が多いです。炭水化物や野菜などをメインとする食事では、猫が必要とするたんぱく質をしっかりと摂取するのは困難になります。
たんぱく質の含有量は、お肉の種類によって異なりますが、一般的にキャットフードの主原料としてよく用いられている鶏肉は、良質なたんぱく質をバランスよく含んでいます。
魚よりも毎日の食事に適している
鶏肉と並んでキャットフードの主原料に用いられているのは、カツオやマグロなどの魚です。魚はタンパク源としても栄養のバランスの観点からも猫にとって最適な食材の一つです。ただし、毎日の食事と考えれば、魚よりも肉の方が効率よく栄養摂取できます。
なぜなら、魚にはビタミンEの吸収を阻害してしまう脂肪酸が多く含まれているためです。ビタミンEには強い抗酸化作用があるので、炎症やさまざまなトラブルから身体を守る役割があります。
食材として肉と魚をそれぞれ単体で比較した場合、肉は、ビタミンA、B群、D、Eなどのビタミンを摂取することができ、高たんぱく低カロリーで毎日の摂取に適しているといえるでしょう。
偏食の予防になる
猫に肉を与えることで偏食の予防もできます。猫は、たいへん好奇心旺盛な反面、警戒心が強い特徴を持っています。食べたことのない食感・におい・形状のものを口にしたがらない傾向にあるため、与えるフードのバリエーションを増やすことは大切です。
特に、子猫のうちに魚だけではなく、種類豊富な肉も食べ慣れることで、成猫になってからも警戒心が薄れやすく病気になった場合でもフードを食べてくれないなどの問題も起こりません。バリエーションのひとつとして、栄養価のすぐれたお肉を与えることはとても効果的です。
愛猫に与えてもよい肉とは?
肉食動物である猫にとって、肉類は貴重なタンパク質源であり、消化や体内の利用率もよい食材です。牛肉・豚肉・鶏肉は猫でも食べることができます。鶏肉では、高たんぱく低カロリーなささみやむね肉、豚肉ではもも肉、牛肉でも赤身がおすすめです。
脂質やカロリーが比較的低いとされる鹿肉や、多価不飽和脂肪酸と呼ばれる血液をサラサラにする作用のある栄養素を含む猪肉なども最近人気があります。
・牛肉を与える場合
牛肉は豚肉や鶏肉に比べて有害な菌が少ないので、生であげてもよいでしょう。ただし、生肉をあげる場合は、鮮度が高く安全な肉を選ぶことが大事です。有害な菌が少ない牛肉だからといっても、その日の体調によっては中毒を起こす可能性があることは理解しておきましょう。
・豚肉を与える場合
牛肉と違い豚肉にはトキソプラズマという寄生虫がいる可能性があるので、必ずよく加熱して与えることが大事です。人間も「豚肉はよく火を通してから」といいますよね。それは猫も同じことです。
・鶏肉を与える場合
牛肉、豚肉に比べて脂身が少なく、とくにささみの部分はヘルシーです。ただし、鶏肉にはカンピロバクターやサルモネラ菌など有害な病原体が潜んでいることがあり、十分に加熱しないで食べると食中毒を引き起こします。どんなに新鮮な鶏肉でも、必ず十分に火を通すようにしましょう。
猫に肉を与える際の注意点
猫の身体づくりのために、肉の栄養素はおすすめと紹介してきましたが、大切なのはバランスよく栄養を摂取することです。
毎日のフードにトッピングする程度の量で
基本的に猫用のフードと新鮮な水があれば健康的に生活できます。好き嫌いやフードだけで補えないタンパク質や鉄分の補給や、食欲の低下や食べ飽きを防ぐために、毎日のフードのトッピングとしてお肉を与えるのが量的にもベストでしょう。
また、肉を初めて与えるときは、少量から始めて様子をみながら徐々に与えるようにします。量が多いと胃腸に負担をかけてしまい、下痢や嘔吐の原因にもなるので注意しましょう。
必ず加熱をしよう
肉を与えることはよいですが、必ず加熱したものを与えるようにします。生肉には細菌がいる場合もあり、食中毒などの危険性もあります。特にまだ免疫力の弱い子猫やシニア猫は、命の危険があることも多いので生の肉を食べさせるのはやめましょう。
一番おすすめな加熱方法は「茹でる」がよいですね。不必要な脂や万が一の細菌を消滅させるための方法になります。
一口大にカットする
万が一愛猫が喉に詰まらせないように、一口大にカットして与えるようにするのもおすすめです。細かいミンチにしてから与えると、トッピングしやすくなります。肉だけではなく、他のお野菜なども同じサイズにカットするとよいでしょう。
加工肉は与えない
ハムやベーコン・ソーセージなどの加工肉を与える場合、猫用のものを必ず選ぶようにします。人が食べる加工肉には香辛料や、調味料が多く含まれているため、塩分過多や中毒を起こす可能性があるので、与えないようにしましょう。
まとめ
猫にとって、肉に含まれるタンパク質はとても重要な栄養素のひとつです。偏食に注意しながらでも、肉は猫にとって魚以上に毎日の食事に適した食材であるといえます。
毎日のフードを基本とし、ご褒美やおやつの際、与え方や適量を守った上でフードを与えるのが理想的な愛猫の食事といえるでしょう。